第十章 終わりに

1.現在のびびりおん
2.終わりに
 2-1.cisとの比較
 2-2.終わりの終わりに

1.現在のびびりおん

びびりおんは2009年10月にエンジュクブログを終了するとネット上から姿を消します。
一方、cisは2chの投資一般板(旧株板)を去った後も、ワイン板や麻雀板、したらば掲示板のポーカー板で投稿をしており、2014年にはツイッターを始めます。
cisはポーカーに凝っており、2016年2月には、出資者としてアミューズメントカジノ「秋葉原カジノクエスト」をオープンします。
その出資者の一人として、びびりおんが出てくることになります。

びびりおんは当初は出資者の一人だったのですが、2016年9月、初代社長に代わって、二代目の社長に就任します。
びびりおんは久しぶりに世間の注目を浴びる立場になります。
ツイッターも始めることになり、7年ぶりのネット上への復帰です。

https://twitter.com/bibirionn

2019年11月現在、フォロワー数が99人とかつてcisと人気を二分したことを思うと、少々寂しいですが(cisはフォロワー数34.1万人)、ポーカーファンや往時を知るトレーダーからフォローされています。

びびりおんは、ネット上でもマスメディア上でも姿を現すことはなかったのですが、カジノディーラーを紹介する動画に映り込んだことがあります(2016年9月23日)。
インタビューを受けるカジノディーラーの後ろにレジェンドの姿が…


動画
https://www.youtube.com/watch?v=HTd4V4ykX-A&t=32

かつて未来から来たびびりおんと言われたうこうこはこの動画を見て大はしゃぎです。


https://twitter.com/ukouko999/status/779882935197442049

秋葉原カジノクエストの社長は2019年7月末で退任し、cisらも出資を引き上げ、現在は人手に渡っています。
びびりおんは再び実業に乗り出すのか、あるいは…。興味深いところです。

cisが初の著書として2018年12月に出版した「一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学」(角川書店)によると
すくる〜じとびびりおんは数十億ぐらい持っていると思う」(P135)
ということです。
アベノミクスのゲーム・バイオ相場に乗れたのかもしれません。

2.終わりに

2-1.cisとの比較

びびりおんとcisを比較して見てみます(※AAと本文は関係ありません)。

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びびりおん、cisともに値動き重視という点では共通しますが、トレードの根本原理からエントリー、手仕舞いに至るプロセスはそれぞれ異なります。





2-1-1.トレード概要と根本原理

びびりおんは指数の日足チャートから地合いを読みます。
5日線と25日線を最も重視します。
細かい情報は切り捨て、なるべく単純にチャートを見ようとします。
そこからパターンを抽出します。





パターンを見抜き、そのパターンに合わせてトレードすることが勝つ秘訣であり、トレードの根本原理になります。



cisは登録銘柄から地合いを読みます。
登録銘柄全体に陽線が多いか、陰線が多いかから始まり、各個別銘柄の出来高、値動き、板、歩み値等、詳細に見て行きます。



いつもと違う違和感に注意を払い、そこから強弱を見抜いていきます。
機関投資家の継続的な買いを特に重視します。
強ければ買い、弱ければ売ることが勝つ秘訣であり、トレードの根本原理になります。



チャートは記憶しているため見なくても分かるということです。

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2-1-2.主戦とする市場と地合

びびりおんは値動きを読みやすい(パターン化した値動きが多い)という理由から基本的に新興市場のみでトレードします。
メガバンクやソフトバンクのように値動きが大きく、新興銘柄に似た動きをする銘柄に関しては東証1部でもトレードすることがあります。



パターンが通用しない跛行色相場・個別株相場ではトレードを休み、簡単に勝てる(パターン通りに動く)全体相場の時のみトレードします。



cisは資金が流入している市場でトレードします。
資金の流入こそが強さだからです。
その時々で東証1部、2部、新興から為替や仮想通貨に至るまで強さをもった市場(資金の入っている勝ちやすい市場)でトレードします。
数十億〜数百億円に資金がなってからは、新興市場をはじめ取引の少ない市場ではトレードしてないようです。



cisは基本的に毎日トレードします。
自信がない時は投入金額を減らすことによってリスクに備えますが、トレードは行います。
負ける可能性より勝つ可能性が高いなら数多くトレードした方が儲かるという考えからです。







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2-1-3.全体相場のトレード方法(全体的に上昇する相場)

びびりおんは、JSQ指数、JSQ平均、マザーズ指数の3指数が上昇軌道にあるのを全体相場と捉えています。
全体相場では、ショットガン買いと言われる細かい分散買いをします。
ポートフォリオを指数に連動させるためと突然の倒産などのリスクに備えるためです。
信用買いはしますが、基本的に空売りはせず、買いのみになります。







cisは、何百という登録銘柄の多くが、寄付きから上昇していれば全体相場と捉えています(つまり市場の多くの個別銘柄が陽線を付けていれば全体相場とみる)。
全体相場では、最も資金が流入しているセクターの、最も強い値動きをしている1〜2銘柄に集中投資をすることが多いです。
それが最も効率が良いからです。
ライブドアショックのように時に損失を喰らうこともあります。
個別銘柄の買いも空売りも、先物や為替のロングもショートも行いますが、利益のほとんどは買いということです。







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2-1-4.跛行色(はこうしょく)相場(上昇銘柄と下落銘柄がまちまちな相場)

びびりおんは、JSQ指数、JSQ平均、マザーズ指数が連動して動かず、個別銘柄も指数に連動しない相場は悪地合と見てトレードを休みます。
指数は見ず、個別銘柄のテクニカルでトレードしたり、もともと指数と連動しないIPOをトレードしたりする時もありますが、あまり得意ではないようです。



cisは、跛行色相場は個別銘柄の陽線陰線がまちまちで全体の方向性がつかめず、値動きも長持ちしないので、リスク<リターンのポイントで小さな利益を積み重ねることが多いです。



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2-1-5.個別株相場(個別銘柄全体的に冴えないがある銘柄だけが強い相場)

びびりおんは、跛行色相場同様、新興3指数が連動して動かず、個別銘柄も指数に連動しない相場は悪地合として休みます。

cisは、全体的には冴えない動きの個別銘柄が多くても、それに逆行するように強い銘柄があれば、その銘柄を買って行きます。
他の銘柄が下がっていれば、その下がっている銘柄を売って行くこともあります。
ポートフォリオの中に買いと売りが混在することは珍しくありません。

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2-1-6.下落相場

びびりおんは、下落相場ではリバウンド取りをします。
指数の底打ちのサイン(明けの明星や下髭、出来高急増、ストップ安の激増)が出た時や、5日線が上方にある25日線に向けて上向きになった時などにショットガンで買いポジションを取ります。
リバウンドの無い一方的な下落局面や中途半端なリバウンド局面(綾戻し局面)ではトレードを休みます。





cisは、上昇相場同様、一方的に下落すれば特に鋭く下落しているものを売り、跛行色的に下落すればリスクリターントレード、ある銘柄だけ下落すればその銘柄を売って、他の銘柄を買ったりします。
リバウンド取りもよくやります。
下落相場でも買いの方が利益を取りやすいと言っています。



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2-1-7.手仕舞い・損切り

びびりおんは、含み損にストレスを感じたり、ポジションに迷いが出たら損切りします。
主観的な判断だけでなく、支持線を割ったり、平均線を割ったら損切りします。
利確は持ち越したら一旦手仕舞いますが、上がり続けると判断した時は再び買い直します。
比較的オーバーシュートしにくい指数を見ているせいか、極端に平均線から乖離した時は一旦利確します。



cisは、主観的な判断を嫌い、自分の感情と株価の動きは全く関係ないものと見ています。
見るのは値動きの強弱のみで、含み損だろうと含み益だろうと値動きが弱くなったら損切りします。
25日線は重視しており、25日線を割ったら一旦手仕舞います。
個別銘柄は極端なオーバーシュートが多々あるので、極端に平均線から乖離しても下落するまではホールドし続けます。



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2-1-8.トレード期間

びびりおんは、一泊二日のトレードが多く、買い建てても持ち越す前に値動きが怪しくなれば、デイトレードで手仕舞います。

cisは、デイトレードが多く、デイトレードのつもりで買っても強さが継続すれば、そのまま持ち越すという形です。

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2-1-9.ルール

びびりおんはトレードだけでなく私生活にもルールを設けるのが好きです。



ただ





と言っています。

cisはルールは効率を悪くするものとして嫌います。



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びびりおんは、細かい情報は切り捨て値動きのパターンに従ってトレードしたため、例えば本当の強さと弱さをはらんだ強さというような細かい区別がつかず、跛行色(はこうしょく)相場では苦戦する要因を作る一方、全体相場になってパターンに合致した時に大きく儲けることが出来ました。
自らストレスに弱いと言うように、主観的な感情に従ってポジションを動かすこともよくあります。

cisは、特定のパターンにこだわることなく、その都度相場を詳細に見て、出来高や値動き、板、歩み値のわずかな違和感から強弱を見抜いてトレードしたため、地合いの変化に柔軟でしたが、損小利小のトレードになりがちで全体相場ではストロングホールドしているトレーダーに相対的に負けることがしばしばでした。
cisは客観的な判断をし、感情的な判断はしないと言います。



実社会では神経質に他人に言われことを気にしたりするびびりおんが単純に相場を見て、実社会では開けっぴろげで悪ノリの多いcisが神経質に相場を見ようとする点は、興味深いですが、人間とはそういうものかもしれません。

2-2.終わりの終わりに

・びびりおんは、ネットトレードの黎明期において、誰よりも早く値動き重視のトレードと新興市場に目を付け、成功します。
まだトレード本もサイトもろくになかった時代において、びびりおんは親しみやすい人柄もあって多くの個人トレーダーに師事されます。



うこうこのこの言葉はあながち大げさな表現ではありません。
もちろんびびりおんがコテハンを付けた2002年末において、圧倒的スターはuoaであり、2004年以降のスターはBNFです。
ただこの二人は2chには散発的に書き込む程度で、誰もがその才能を認めつつも同じ目線でトレードを指南してくれる存在とは違いました。
一部の才能あるトレーダーは彼らの少ない書き込みから、飛躍するきっかけを得ましたが、多くのトレーダーにとっては雲の上のトレード方法でした。
それは2004年以降勝ちだしたcisも同様で、わずかな違和感から強弱を見抜いていくcisのトレードスタイルはcis自身も「まねしにくい」と言っています。



名無しも





と言っています。
びびりおんの話から勝てるようになったトレーダーは多いです。



cisが有名ですが、三空(鱗、Lin)もびびりおんのおかげで勝てるようになった一人です。
三空はびびりおんのことを「株の師匠」と言っています。



ますぷろは三空の真似をして勝てるようになりました。
これらの有名トレーダーだけではありません。













「ONLY」というのはもともとびびりおんが最初にブログに着けたタイトルで(「ONLY vivi blog」、後に「イケメン隠居人ブログ」に改題)、おんりーびびりおんと言うようにびびりおんのニックネームになりました。
ブログのタイトルはおそらく神経質に他人の言動を気にする性格を自ら戒める目的で付けたと思われます。
びびりおんがどこまでびびりおんが目指したオンリー1になれたか分かりませんが、ただ、びびりおんのおかげで勝つことができるようになった多くのトレーダーにとっては、びびりおんは、かけがえのない、オンリー1の恩師だったのではないでしょうか。


・びびりおんの2007年10〜11月のトレードは鮮やかで、それまで小幅の損切りでチャンスをうかがい、全体相場になるや否や、一気に損失を取り戻し、利益を上げました。
このトレードはインパクトが強く、cisはそれまでは確実に取れる小さな利益を積み重ねるというスキャルピングでしたが、



この時以降は、





と言うように、大相場(全体相場)でのスイングで大きな利益を目指すようになっていきます。
それは後に2015年8月のチャイナショックや2018年1月の下落相場で巨額の利益を上げるトレードに繋がっていくことになります。


・びびりおんが個人トレーダー、特にネットトレーダー全体に与えた影響は大きいです。
誰よりも早く勝つ方法を確立し、その手法や見方を教え、さらに、勝てずに悩み苦しんだ心情を書き続けました。
時に馬鹿にされながらも多くのものをトレーダーに与えました。
びびりおんのおかげで人生を好転させることが出来た人が多いです。



感謝を込めてびびりおんの言葉を紹介します。











































































平成不況の真っただ中、企業に愛されることが無かったゆえ、図らずも専業トレーダーと言う未知の世界で戦うことを余儀なくされたびびりおん。
彼の悪戦苦闘の歴史は後世のトレーダーにとって大きな道しるべとなることでしょう。
びびりおんの功績は計り知れない。




≪了≫

参考文献等


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